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Findings from an Old Japanese Style Café

古民家カフェが現代人に気づかせてくれるもの

都内のおしゃれな街のひとつとして有名な目黒区自由が丘。自由が丘駅から歩くこと五分ほどで閑静な住宅街のなかに見つかる緑に囲まれた和風住宅が、カフェ「古桑庵」である。周り に広がる西洋風の街並みの中、松や梅の茂る石畳の和風な入口がひときわ目を引く。   

「古桑庵」の店舗となっている古民家は元から店主・中山勢都子さんの自宅だという。30 年ほど前から中山さんの母が製作した人形のギャラリーとなっていたところを、平成11年に 中山さんが人形を展示するカフェとして開店した。「下町というわけでもなく、大きな店が多い自由が丘では古民家カフェは珍しく、面白いかもしれない」と中山さん。現在は人形を母屋 に展示し、庭の景色がきれいな離れをメインにカフェを営む。抹茶やあんみつなどの甘味、季節限定のかき氷や甘酒などが人気だ。

 近年ブームになっている古民家カフェだが、そもそも古民家とは築50年を超えた住宅のことだという。今回、築50年を優に超えるこの「古桑庵」にお伺いし、「古桑庵」について、 また古民家カフェについてのお話をいただく機会を得た。

 中山さんによると、客層は当初、30~40代が多かったという。これは地方から都心に働きに出て帰省する暇のない社会人たちが帰郷した気分を味わうために来店していたのかもしれない。このカフェを第二の故郷のように感じている客もいるだろう。他方、最近ではインスタグラムや twitter を通して口コミが広まり、都会で生まれ育った 20代や外国人の来店が増えているという。田舎を知らない彼らにとっては日本の“ふるさと”を伝える役割を果たしているのかもしれない。 さらに、途中で運営に関する非常に印象深いお話を聞いた。それは庭から古民家の維持のすべてを一人の高齢の大工さん、植木屋さんに任せてきているということだ。これを聞いて私たちは、かつては人と人のつながりを重視しており、濃密な信頼関係が形成されていたことに気づいた。

翻ってみると現代の私たちは 24 時間 SNS でつながっていることはできるが、他方で近所付き合いは減少した上、インターネットでの関係はいつでも解消できる、気ままで無責任な世界にいる。現在は、人間関係が希薄化しているのではないかと感じた。いまの時代に必要なのは、周りの人を大切にすることではないだろうかと古民家カフェを通して考えさせられた。

 中山さんは「この先どれくらいもつかはわからないが、今来てくれている客に丁寧に対応することが大切。良い印象を持ってもらえれば、また何度も来てくれたり誰かを連れてきてくれるかもしれない。スタッフの年代も変わってきているので、その気持ちを伝えていきたい」と話す。古民家カフェ「古桑庵」には、現代人が忘れかけている長年にわたる人との“つながり”によって維持されてきた、そして故郷を思わせるような心地よい空間があった。

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