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Picture Books and Illustrated Encyclopedias in McDonald’s “Happy Meal”

おもちゃだけではない?! マクドナルド「ほんのハッピーセット」

マクドナルドと聞いて、「ハッピーセットのおもちゃ」を連想する人は多くいるだろう。人気キャラクターとコラボしたおもちゃを楽しみに、マクドナルドへ足を運んだ子どもの頃の記憶はないだろうか。誰でも楽しめるおもちゃを提供するイメージが強いハッピーセットだが、日本マクドナルドでは近年「ほんのハッピーセット」として、おもちゃに加えて、絵本や図鑑が選べることをご存知だろうか?

なぜ、絵本や図鑑をハッピーセットとして提供するのだろうか?そこには何かしらの具体的目標、たとえば子どもの知能を伸ばすこと等があるのだろうか?それとも、日本マクドナルドの経営理念に大きな転換でもあったのだろうか?

われわれ取材班は今回、以上の疑問を解決するべく、日本マクドナルド「ほんのハッピーセット」担当の多良間さんと広報担当の石黒さんにお話を伺った。

「はいたつやさん」©️Jun Ichihara 作者:市原 淳

「ほんのハッピーセット」について

「ほんのハッピーセット」は2018年に販売を開始し、2022年5月現在までに計50種類、4000万冊の売り上げを記録している。子どもたちに気軽に本への興味をもってもらうことや、本を通じた親子のコミュニケーションの深まりを目的としてこの取り組みは始まった。

「ほんのハッピーセット」において、子どもたちは絵本 / 図鑑のいずれかを選ぶことができる。絵本は丈夫なハードカバーで包まれており、作家に依頼して制作してもらうオリジナルストーリーが人気を得ているそうだ。一方で図鑑は、市販のものよりもサイズが小さく、持ち運びや収納に便利だ。シールやコラムやクイズも付いていて、手に取りやすいものとなっている。

2022年8月には、絵本としてはさかなクン執筆のオリジナルストーリーである「さかなクンとうみのなかのがっこう」が、図鑑としては「小学館の図鑑NEO 岩石・鉱物・化石」の中から化石分野の標本を中心に作成されたミニ図鑑が販売された。

「さがしっこえほん ペンギンのトコトコ」
@Chiharu Sakazaki 作者:さかざきちはる

「楽しさ」のきっかけとしての「ほんのハッピーセット」

さて、冒頭の疑問に話を戻そう。ハッピーセットの一環として「本」が販売されているのはなぜだろう?「ほんのハッピーセット」は海外の事例を受けて開始されたものだが、そこには日本マクドナルドならではの意図があるという。

「せかいいちれいぎただしいかいじゅう ボンバルボン」
©︎Q-rais 作者:キューライス

たとえば海外の一部の国では、識字率の低さをはじめとする教育格差を是正することを第一の目的として、ハッピーセットの教育的側面が強く押し出されている。その国や地域が直面している教育的課題の一解決策として、ハッピーセットとして本が販売されているケースもあるそうだ。

一方で日本では、識字率の問題はさしあたってはクリアしている。日本マクドナルドは、あえて何か解決が必要な具体的課題のための本の提供ではなく、絵本や図鑑を共に読むことをきっかけに、親子が楽しい時間を過ごすことを目指して「ほんのハッピーセット」を開始・展開させているという。

われわれ取材班の印象に特に残ったのは、「子どもからシニア世代までの幅広い世代が楽しく過ごせるのがマクドナルドの特徴です。」という多良間さんと石黒さんの言葉だ。たしかに、オフィスワーカーやシニアはコーヒーで一息つき、親子はそれぞれの時間を楽しみ、学生たちはおしゃべりの場としてマクドナルドを利用する。多良間さんと石黒さんのおっしゃるように、マクドナルドほどどの世代にも親しまれているフード店はないはずだ。

誰でも気軽に楽しい時間を過ごせるマクドナルド。まさにこうした雰囲気から生まれたのが今回の「ほんのハッピーセット」なのだ。絵本や図鑑を通して親子がより楽しい時間を過ごすことが、日本マクドナルドが何よりもまず意図することなのである。

執筆者:小西啓太, 田中大勝, マーロー瑳良

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