ユーグレナ。この単語を誰しも一度は目にしたことがあるのではないだろうか。スーパーに並ぶ緑色と黄色のパッケージが目を引くドリンクの会社だ。
他方で化粧品も手掛けているようだ。かと思えば、昨年度自社のバイオ燃料でジェット機を飛ばしたとのニュースが流れた。いったい何の会社なのだろう。
株式会社ユーグレナは、「人と地球を健康にする」をパーパスとして掲げ、社会課題解決に取り組む会社。
その事業内容は一言では語りつくせないほど多様だ。同社は 2019 年度から 18 歳以下限定で CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)と CFO と一緒に活動する Future サミットメンバーの募集を開始した。
今回私たちは、広報宣伝部部長でいらっしゃる北見さんに、この取り組みとともにユーグレナ社のこれからを伺った。
「気候変動などの環境問題について、なぜ大人は真剣に取り組まないのか。」
この言葉がユーグレナ社の経営陣の心に響いた。ある小学生からの言葉だ。未来を生きるのは子どもたちだ。
未来のことを考える議論に未来を生きる当事者が参加していないのはおかしいとして、2019 年に 18 歳以下の CFO と Future サミットメンバーの募集を開始し、2期目に突入した。CFO たちの活動テーマは、サステナビリティを軸に考えられる。
1 期目のテーマは環境。初代 CFO とFuture サミットメンバーの考えた経営策定方針は「環境への意識の高さ、低さに関わらず 当社は消費者が意識せずとも 環境に配慮した行動をとれる仕組みの構築を目指す。」
そこで、商品に使用する石油由来プラスチックの削減を目標に掲げ、現在も取り組みを続けている。
2 期目の CFO たちのテーマは「well-being:幸福」、特に「仲間」と呼ぶ社員に向けた「well-being」だそうだ。
これまでヘルスケア事業として化粧品やドリンクなどを手掛け、お客様の well-being を追求してきた。社会から日の目を浴びなかった微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の無限の可能性を信じ、新たな商品を次々と世に出してきた。
しかし、このような「新たな挑戦」は換言すれば「社会への挑戦」だ。そこには大きな困難や辛さがある。自分たちが最初に well-being を体現しなければ、お客様によりよい生活を届けられるはずがない。
こうした想いを背景に、well-being をテーマに議論を重ねてきた。北見さんは、「仲間」がポジティブな生活を送ることができれば、会社もポジティブに成長できると語ってくれた。
さて、私たちは取材班、このプロジェクトは決して一過性ではない、積み重ねのプロジェクトだと感じた。1 期目のテーマは「環境」、2 期目は「well-being」。一見繋がりがないように思えるが、1 期目の取り組みが 2 期目に生かされているのだと言う。
たとえば、1 期目のプラスチックを減らすという目標に向け、ゴミの捨て方を見直す活動を行ったのだそうだ。
オフィス1つにつきゴミステーションを1か所のみ設置。ゴミステーションには透明なゴミ箱を設置し、ゴミを細かく分別して捨てる。ゴミ箱が満タンになるまでゴミ袋は替えない。紙、燃えるゴミ、燃えないゴミ、…。
こうして分別されたゴミは、透明なゴミ箱を使用することにより量が外から見えやすくなった。「仲間」たちは、どのゴミの種類が一番多く排出されているのか、これを減らすためにはどうすれば良いのかを無意識のうちに日常の中で考えるようになったのだそう。
このように、みんなで何かを成し遂げることこそが well-being につながると北見さんは話す。
「well-being とは、自分だけが良い環境で働くことよりも、みんなで成し遂げていくことが大切。どうしたら良いかをみんなで一緒に考え、その延長線上で、よりよく働く、よりよく生きることにつながっている。SDGs も同じで、みんなで達成しなければならない。誰かヒーロー一人がやればいいのではない。」そう熱い想いを口にした。
CFO による提言を事業に反映するにあたって、大きな困難が伴うのは必須だったという。
例えば、1 期目の CFO の提言の一つには、ペットボトルをドリンク製品に使用すべきでないとの指摘があった。世間ではペットボトルの使用が環境にもたらす影響について、多くの議論がなされているにもかかわらず、それを未だ用いるというのか。ペットボトルの使用をやめるということは、確かに大きな決断だったのだそう。
というのも、ユーグレナ社という後発企業にとって、ようやく自社製品をスーパーの棚に並べてもらえるようになった段階だったからだ。
ペットボトルの使用を止めることになれば、新たに陳列スペースを確保しなくてはならない。それでも、こうした「困難」は予想外のものではなかったようだ。
そもそも、CFO の役割は、会社と社会をより良くするための提言を行うことであり、それに際して困難が付きまとうのは当然だとも言えるからだ。CFO の取り組みは、困難と向き合うための取り組みとも言えるだろう。
CFO の提言を退けることなく、むしろそこをスタート地点としてどのように目標に到達できるかを考えること。これこそが会社と社会の幸福を実現するために必要とされていることなのだ。
株式会社ユーグレナという会社は、単体で従業員は約 250 人、創業 15 年ほどの規模のベンチャー企業だ。
だからこそ、柔軟に困難に向き合い、社会をより良くするための取り組みを実践することができる。
大企業になると、迫られる決断は複雑さを増し、より大きな困難を伴う。ユーグレナ社が先例を示すことで他の企業が実行しやすくなり後に続くことができれば、社会をより良くするための動きはさらに大きなものとなる。
CFO の取り組みによって、従来は不可能だとみなされていたことが可能になる。つまり「0 から1」への前進がなされるのだ。
「いきる、たのしむ、サステナブる」。
これは、ユーグレナ社のロゴマークに明記されているタグラインだ。「サステナブル」という言葉はとりわけ最近よく耳にするだろう。その言葉に対して、「意識高い系」や持続可能という意味から、漠然と「現状維持」というイメージを抱いている人もいるかもしれない。
しかし、サステナブルという言葉の意味するところは、このイメージとは全く異なるものだということを、私たちは北見さんとのお話の中で強く感じた。
サステナブルな商品に対して、いわゆる「意識高い系」のためのものという印象が生じるのは、それが何か日常からは離れた「特別なもの」だとみなされているためだろう。
しかし、サステナブル、すなわち持続可能性が社会で求められるのは、持続性すら保障されていないからだ。現状のままだと環境の破壊が続く。持続可能性は現に求められている。
それを実現するためには「特別なもの」というイメージを払拭し、生きるように「当たり前のこと」だとタグラインに表現するところに、企業としての使命があるのだという。
2021 年という年は、2019、2020 年に比べて SDGs やサステナブルという言葉が広く世間に浸透した。それはある種のブームであると北見さんは語った。ブームというのは一時的で、必ず終わりがある。
だからこそ、それらを単なるブームで終わらせるのではなく「当たり前」のこととして浸透させるように、企業の側からイノベーションを起こす必要がある。ユーグレナ社は、それまで不可能だと言われてきた微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の大量培養を実現させた。
また 2021 年には、バイオ燃料で飛行機を飛ばすことを成功させた。従来、飛行は石油由来の燃料を使用してきたが、バイオ燃料での飛行も可能なのだと示された。
不可能とされてきたことを可能にする。
こうした事例を積み重ね、再現性を高めることで、今度は他の企業・分野でも、ユーグレナ社の取り組みをモデルとして後に続くことができる。
こうしてサステナブルなことを実現する動きが徐々に拡大していく中で、私たちも環境問題を「自分ごと」として捉えるようになる。サステナブルというのは何か「特別なこと」だとみなされているうちは実現され得ない。一人で実現されるものでもない。ユーグレナ社の取り組みから私たちはそう強く感じた。
実感に留めておかずに、少しずつ行為に移すことが、私たち若い世代には求められているのだろう。
執筆:佐藤綾香、マーロー瑳良
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