日本全国の中学校には9都府県33箇所(注:平成31年 文科省調べ )に夜間学級が設置されている。中学校の夜間学級は、様々な事情で中学校を卒業していない(義務教育を修了していない)方のために作られた学級である。
東京都世田谷区立三宿中学校も設置されている学校の1つである。ここでの夜間学級対象の生徒は学齢を超えていること、原則として義務教育を修了していないこと、そして東京都に在住しているものならば、入級できる。三宿中学には令和元年12月現在49人が在籍しており、日本国籍のものは10人、ネパール国籍のものが25人、他中国など東アジア、タイ、ベトナムなどの東南アジアなどの11の国と地域からの生徒が在籍している。年齢は15歳から20歳が6割と、若者が非常に多いが、最高齢は80歳代と高齢の方も数人在籍する、普段の授業時間は40分休憩5分となっており、1限終了後食事の時間は30分で、食堂で来た順々に食べていく。宗教上の理由から給食の肉は鶏肉がメインとなっている。
行事は様々で夜間中学同士のバレー大会、移動教室、体育大会、修学旅行があり、基本的に昼間部と同様である。公立の中学校であるため授業料は無償であるが、入学時の一部預かり金や上履き代、給食費、教材費、宿泊行事費用などは自己負担となっている。
この夜間学級は全部で10組あるが、6つは通常学級で31人が在籍し、4つは18人が在籍する日本語能力が十分でない生徒のための日本語学級である。クラス一人あたりの人数は非常に少なく、平均5人程度である。教室は夜間生徒用の教室があり、そこで座学の授業を行う。東京都の教員が夜間学級の授業を担当している。また各クラスに担任がおり、日直もいる。クラスは基本習熟度別に分けられており、同じクラスでも学年が違う生徒もいる。
通常学級のあるクラスでは古文の授業を行っていた。授業形式としては先生が生徒に次々と問題を当て、問題文を読ませ、解答をこたえさせており、授業風景はごく普通の中学校と同じであった。生徒の皆さんは静かながらも、集中しており、一方先生は生徒が間違ってもフォローをしていた。また別のクラスでは面接の仕方の授業をしていた。日本語が比較的まだ十分でない生徒もいたが、日本語の読み合わせを行い、発音に苦労しながらも頑張っていた。
次に日本語学級についてだが、日本語が不十分な生徒は日本語の授業を受ける。彼らの多くは2年の4月ないし9月から入り、半年または1年で3年の通常授業に進級し、一年で卒業している。授業は漢字、カタカナ、ひらがなの書き方などの日本語のみを行うほかに音楽、体育、芸術、技術家庭の授業がある。現在は、ネパール国籍の生徒が多い。
どのクラスの生徒も積極的に授業に参加し、勉強熱心であったことが印象的であった。夜間学級副校長はこの点について勉強する目的が明確でかつ1クラスあたりの生徒数が少ないこともあって、学習へコミットする態度につながっているためではないかと述べている。
2018年以降文科省は夜間学級設置を促進させており、夜間学級は教育において大きな役割を果たすことが期待される。今後の動向にも注目である。
執筆 風巻勇介
英語編集 ジェイコブ・ワグノン