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The Blitzchung Controversy: A Discussion About Validity of Rules

Blitzchung論争 ~ルールの正当性についてのディスカッション~

2019年に世界で一番話題になった社会問題は香港問題に間違い無いだろう。香港の国民は自由を求める闘争を起こし、中国当局の対応は国際社会から非難を浴びている。またこの香港問題から派生して生まれた問題も数多くあることは皆さんもご存知だと思う。

我々はその中でも、同じく近年話題になっているeSportsに関連して起こった事件についてディスカッションを行なった。

事件はアメリカの大手ゲーム会社、Blizzard Entertainmentが主催するHearthstoneというゲームの最高峰を決める世界大会で起こった。大会に参加していた香港のプロゲーマーのBlitzchung選手が香港デモを支持する発言を試合後のインタビューで行なった。その発言に対して主催者であるBlizzardは大会のルールに違反したことを理由に6ヶ月の参加禁止処分を科した。

この事件は一般の人々にも論争を引き起こした。それはBlizzardEntertainmentが中国資本の企業であること、またこの処分が政治的な発言に対する処分では無いことは明らかだったからである。Blizzardは公式にLGBTの運動に対する肯定的な発言をしているからだ。このような文脈において、私たちはこの処分の正当性について話し合うことにしたのである。

この問題を簡単にまとめると、BlizzardはLGBTの問題に関してはお咎めなしで(むしろ自分たちから発信もしている)、香港の問題に関しては処分を加えたということである。

その理由としてブリザードが抵触しているとしてあげた2019 Hearthstone Grandmasters Competition Rules section 6.1によれば、

”Blizzardの単独の裁量により、あなたを公の不名誉に陥れたり、公衆の一部またはグループを怒らせたり、Blizzardのイメージに損害を与えたりする行為に処分を与える”

と記載されている。このルールのもとでは、Blizzardが内容に関わらず一貫性を持って処分の判断を下したかどうかは判断できない。

例えば、”私はバナナが嫌いです”と発言した場合でも、バナナに携わる業界人が怒ったり、またそれによってBlizzardのイメージに損害が与えられる可能性がある。このルールにおいては、”私がバナナが嫌いです”と発言した場合でもBlizzard独自の裁量によって恣意的に処分を下される可能性が十分にあるのだ。

よって、Blizzardの処分の一貫性について批判されるのは当然である。一貫性を示す方法としては、オリンピック憲章のように包括的にスポーツに関係のない主張を禁止する方法、厳密に禁止行為を定める方法、第三者委員会を置き、透明性を持つ方法などが挙げられるだろう。

このディスカッションを通じて、我々はルールの正当性を根本から考えることができた。この問題は一見難しく思える。なぜなら国民がその国の法を犯したら罰せられるように、主催者が設定したルールを犯したら処罰されるのは当たり前のことであり、ここに批判を加えるのはおかしなことであると普通は考えるからだ。

この法律、ルールの方がおかしいと主張するのはおかしなことでは無いというのは気づきにくい。ルールを守ることと、ルールを批判することは矛盾しないのである。

執筆
宮内昂平、風巻勇介、曽根瞳子、 Jacob Wagnon 、一瀬海斗

校閲
Jacob Wagnon


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